シンタローの穴ぐら鍼灸雑記 〜東洋医学issue〜

開業鍼灸師のシンタローが東洋医学や鍼灸についてつらつらと書いています。

東洋医学の基礎「五行論」とは。

こんにちは、穴ぐら鍼灸師のシンタローです。
久しぶりの更新となりました。推敲しているとなかなかアップできませんね…。

 

治療に直結するものとすれば、臓腑のこと……といきたいところですが、まずはその根本となる概念から考えようと思います。

 

東洋医学にはいくつか根本理論がありますが、そのうちの一つが「五行論」と呼ばれるもの。

とんでもなく乱暴な言い方をすれば「世の中のものをぜーんぶ、5つに分けてしまえ」という考え方です。偉大な先人たちも、これを成立させるのに苦慮したと言われています。

当然そうなると当てはまらないものも出てきますが、基礎の考え方から応用していけばなんとなく腑に落ちるよね、という感じになります。
まぁ、元々はカテゴリー分けを主眼に置いていたわけではなく、事柄の関係性を表すのに用いられたとかも言われていますが、とりあえずいろいろまとめたらこうなった、でいいと思います。

 

 五行とは、「木」「火」「土」「金」「水」という5つの属性のことです。それぞれが働きの特徴を持っています。

 

「木」:曲直(きょくちょく)

「火」:炎上(えんじょう)

「土」:稼穡(かしょく)

「金」:従革(じゅうかく)

「水」:潤下(じゅんか)

 

「炎上」「潤下」の意味合いはなんとなくイメージがつきやすいですね。

「炎上」は火の燃える様子をそのまま想像してください。温熱や上昇する作用を持つ事柄はこれに属します。

「潤下」は水のように下に流れる特性や、湿気や潤い、冷えなどの作用を指します。

「曲直」は樹木が成長する様子を指しています。上や外に向かって伸びていくこととも言い換えられますね。成長や昇発、のびのびとした姿などの作用や性質は「木」に属します。

 

さて、わかりにくいのは「稼穡」「従革」です。
最初はシンタローもイメージができず苦労しました。

「稼穡」というのは農作物とつなげると腑に落ちやすいです。土に種を播いたり、収穫するという様子を想像しましょう。そこから生化、継承、受納という言葉につながります。少し飛んで臓腑と関連づけると、食べ物を受け取る臓腑としての《脾胃》があり、どちらも「土」の属性です。エネルギーを発生させる土壌としての役割と考えましょう。
「従革」は一番理解にくい言葉だと思います。とりあえず「変革」と言い換えます。変化させたり、上にあるものを下に下ろすような性質を持つものは、このカテゴリーにぶち込みます。臓腑のうち《肺》は《脾胃》から受け取ったエネルギー(気)を全身にスプリンクラーのように配ります。《肺》は体幹部の一番上にある臓としているので、上から下に気を下ろす、という粛降という作用を持つ、と定義づけられています。

鋭い方は、色分けに違和感を覚えているかもしれませんが、もちろんこれにも意味があります。
「従革」の色は「白」なのですが、それだと文章上は読めないのでグレーで記載しています。「稼穡」の色は「黄色」としてください。
「木」なのになぜ緑でなく「青」なのか、「水」なのになぜ「黒」なのか、その辺を突っ込んでいくと迷路に迷うことになるので、「これはそういうものだ」と思うことが理解への早道です。

ようやく、五行論の入り口に立ちました。まだ少し続きます。
が、そろそろお腹がいっぱいだと思うので、今回はここまで。

あれです。数学の公式と一緒で、暗記しなきゃならない公式も覚えておくと応用がきくようになるのと同じです。まずは覚えなきゃならないことは覚えてみましょう。
あるとき「はっ!」と道筋が立つことがあります。
それを目指して、ぽつぽつと読み流していってください。


 

ちなみに、割と読みやすい本ということでは少し古いですが、「イラスト図解 東洋医学のしくみ」関口善太 監修(日本実業出版社 2003年)がおすすめです。

鍼灸の話、よりは漢方の話という側面が強いですが、治療方針の立て方などもわかりやすく書かれています。

入学したての鍼灸マッサージの専門学生さんにもイメージを作るのに役立つでしょう。シンタローも先生からおすすめされて、1年生の時に世話になりました。

 

 

それでは、基礎編「五行論」第1回でした。
次回は「五行に所属する事象」について書きたいと思います。これは少しイメージしやすいテーマになるはず!

 

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